居宅療養管理指導とは?介護保険で受けられる在宅医療支援をわかりやすく解説

介護

居宅療養管理指導とは?

在宅で療養生活を送る要介護者・要支援者に対して、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職が居宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うことで、利用者の心身の機能の維持回復と、生活の質の向上を図ります。

主な指導内容の例

訪問する専門職主な役割
医師・歯科医師居宅での診療や医学的な管理・指導
薬剤師薬の適正使用の指導、薬の管理
管理栄養士栄養状態の管理、食事指導
歯科衛生士・管理栄養士口腔機能の維持・向上の指導

サービス利用の流れ

1. ケアマネジャーに相談
2. 専門職の訪問調整
3. 訪問・指導開始
4. ケアプランに反映

事例紹介:こんなときに使える!

事例①:薬剤師による服薬管理

背景:認知症が進行し、薬の飲み忘れや重複が心配
対応:薬剤師が訪問し、服薬カレンダーを作成。家族にも説明し、安心して服薬できる環境を整える。

事例②:管理栄養士による栄養指導

背景:食欲低下と偏食で体力が落ちてきた
対応:栄養士が訪問し、好みに合わせた栄養バランスの提案。家族と一緒に献立を見直す。

事例③:歯科衛生士による口腔ケア

背景:口腔内の衛生状態が悪化し、誤嚥性肺炎のリスクが高まっている
対応:歯科衛生士が訪問し、口腔ケアの方法を指導。家族にもケアのポイントを伝える。

居宅療養管理指導にかかる費用について

居宅療養管理指導は介護保険サービスのため、費用の大半は保険でまかなわれ、利用者はその一部(1割〜3割)を自己負担します。

所得区分自己負担割合
一般の方1割負担
一定以上の所得がある方2割または3割負担

このサービスで最も重要なのは、他の介護保険サービスとは異なり、要介護度に応じた「区分支給限度基準額(上限額)」の対象にならない点です。

1回あたりの自己負担額の目安(1割負担の場合)

費用は、訪問する専門職の種類と、同じ建物に他に利用者がいるかどうか(単一建物居住者の人数)によって細かく異なります。

訪問する専門職1回あたりの料金目安 (1割負担)月あたりの利用限度回数 (原則)
医師・歯科医師約440円 〜 520円月2回まで
薬剤師(薬局)約340円 〜 520円月4回まで
管理栄養士約440円 〜 550円月2回まで
歯科衛生士約290円 〜 360円月4回まで

※上記はあくまで目安です(地域や計算方法、建物内の利用者数によって変動します)。

マンションやグループホームなど、同じ建物に住む複数の利用者に続けてサービスを提供する場合、効率が良いとみなされ、1人あたりの費用が安くなる仕組みになっています。

居宅療養管理指導の費用で特に注意すべき点

居宅療養管理指導の費用は、サービス自体の費用は介護保険から支払われますが、関連する費用として医療保険も関係してきます。

費用項目適用される保険サービス内容
居宅療養管理指導費✅ 介護保険**「療養上の管理と指導」**に対する費用。医師、薬剤師、管理栄養士などが訪問して行うアドバイスや情報提供など。(自己負担は1割〜3割
医療費✅ 医療保険「医療行為」に対する費用。医師による診察、検査、処置など、訪問診療・往診にかかる費用。(自己負担は1割〜3割
薬代✅ 医療保険薬剤師が提供・指導した薬そのものの費用。(自己負担は1割〜3割

介護保険が適用される部分(居宅療養管理指導費)

この費用は、「在宅での生活を支援するための管理と指導」に特化しています。

  • 医師・歯科医師:医学的な管理、ケアマネジャーへの情報提供、指示
  • 薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士:薬の管理指導、栄養指導、口腔ケア指導など

→ このサービス自体は介護保険の対象であり、区分支給限度額の対象外です。

医療保険が適用される部分(医療費・薬代)

これは、病気やケガの「治療」に関わる費用です。

  • 訪問診療・往診(医師):居宅での診察、処置、検査などの医療行為。
  • 薬代:処方された薬そのものの費用。

→ これらの費用は、居宅療養管理指導とは別に、医療保険の自己負担割合(通常1〜3割)に応じて支払う必要があります。

薬剤師の訪問を例にした費用の流れ

訪問時の行動該当する費用項目適用保険
薬剤師が居宅を訪問交通費 (実費)自己負担
残薬を確認し、薬の飲み方を指導居宅療養管理指導費介護保険
処方された薬を渡す薬代医療保険

まとめ:在宅療養を支える「居宅療養管理指導」を活用しよう!

居宅療養管理指導は、在宅での療養生活の質(QOL)を高めるために不可欠な介護保険サービスです。

このサービスを利用することで、通院が難しい方も、医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士といった専門職によるプロの指導や管理を自宅で受けることができます。

🏠 サービスの重要なおさらいポイント

  1. 目的は「療養上の管理と指導」
    • 薬の管理、栄養状態の改善、口腔ケアなど、自宅で安全に療養を続けるためのアドバイスが受けられます。
    • 専門職はケアマネジャーと連携し、介護サービス全体を円滑に進めるための橋渡し役も担います。
  2. 費用は介護保険が適用される
    • サービス自体の費用は介護保険から支払われるため、自己負担は1割〜3割と比較的安価です(1回あたり数百円程度)。
    • 最大のメリットは、他の介護サービスの支給限度額とは別枠で利用できる点です。
  3. 医療費(薬代・診察)は別になる:
    • サービスの費用は介護保険ですが、診察や治療(訪問診療)にかかる費用や薬代は、別途医療保険が適用されます。このため、介護保険と医療保険を併用する形になります。

🌟 まずはケアマネジャーに相談を

居宅療養管理指導は、「誰に、何を、どれくらいの頻度で指導してもらうか」が、主治医の指示とケアマネジャーのケアプランに基づいて決められます。

もし、ご自身やご家族の在宅療養において、薬の管理や食事、口腔衛生などに不安がある場合は、まずは担当のケアマネジャーに相談してください。まだケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターや、かかりつけの医療機関に相談することから始めましょう。

医療と介護の連携を強め、住み慣れた自宅で、あなたらしい安心した生活を続けていくために、このサービスをぜひ積極的に活用しましょう。